2010年11月23日火曜日


”奏楽堂の響き3” 2010.12.9にリリースです!

 何故にこれほどの名曲がCDにもならず、再演機会もなく埋れていたのでしょうか?
「奏楽堂の響き」はそのような幻の傑作を皆様にお届けするためにあるシリーズです。第3回は「戦前・戦中世代の機会音楽」、「3人の会の音楽」、「新世代と新編曲」の3つのテーマで、 幻の名曲から期待の若手の委嘱新作までが集まりました。


 3回目ということで、「3人の会の音楽」から聴き所を紹介しましょう。
黛敏郎の《交響組曲「東京オリンピック」》は、市川崑監督の代表作でもある同名映画よりの新編曲になります。日本国民だけでなく、世界が熱狂したスポーツの祭典へ作曲された音楽は、 黛映画音楽の代表作である《天地創造》と双璧を為す傑作です。勇壮な黛メロディーと響きのダイナミズムを存分に楽しめます! 組曲の構成と編曲は伊福部昭最後の弟子として知られる堀井友徳です。
 團伊玖磨は、自身が楽しんで編曲したという《吹奏楽のためのぞうさん》の心温まる音楽。そして《希望のあしおと》は心臓発作から復活した團の喜び溢れんばかりの快活にして壮健たる傑作です。
 昨年は没後20年の演奏も多かった芥川也寸志ですが、《JALマーチ》は初演以来の演奏ではないでしょうか? 元々は管弦楽と吹奏楽による2群のオーケストラのために作曲されましたが、今回は吹奏楽で演奏できるようした版になります。


 「戦前・戦中世代の機会音楽」では、團伊玖磨の推薦で作曲したという佐藤勝の《日本万国博ファンファーレ》で始まりました。吹奏楽の世界でもファンが多く、NAXOSやオーケストラ・ニッポニカでの再演を含め高い注目が集まる深井史郎の《英魂を送る》は山本五十六元帥へ捧げられた葬送行進曲。《六甲おろし》《闘魂こめて》《ドラゴンズの歌》《モスラの歌》の作曲者・古関裕而の《モーターボート行進曲》は、古関裕而記念館にも保存されていなかった新発見の作品です。


 「新世代と新編曲」では、まず芥川作曲賞の受賞者でもあり、「演じる音楽」「笑いの構造」などをテーマに「前衛」作曲家として知られる川島素晴の委嘱新作と高校生時代の作品が演奏されました。
 もう1人の委嘱作曲家は、2008年日本吹奏楽コンクール第1位「躍動する魂」をきっかけに、 吹奏楽だけでなく様々な分野へ活動を繰り広げる江原大介《クラリネット協奏曲「フレイム」》。いずれも若々しいエネルギーが鳴り響く音楽でした。
 佐藤勝の《ゴジラ対メカゴジラ》よりのビッグバンドサウンドは、 ジャズからの恩恵を受けた現代作品として今後も歴史に残る逸品となるでしょう。 なんとこれが舞台初演でした! 映画音楽にもまだまだ名作が埋もれています。
 最後は恒例となった伊福部昭《SF交響ファンタジー》の第3番の編曲初演です。 もちろん編曲は、全曲の指揮も行う福田滋による伊福部音楽への愛情溢れるアレンジです。 ラストへ向かって突き進む迫真の演奏は感涙もの! 珠玉の作品を作った作曲家、そしてリベラ&福田滋に感謝!!!


収録曲目


1.佐藤 勝(1928-1999):日本万国博覧会ファンファーレ(1970)
2.古関裕而(1909-1989):モーターボート行進曲(1971)
3.深井史郎(1907-1959):「英魂を送る」故山本五十六元帥の霊へ捧ぐ(1943)
4.團伊玖磨(1924-2001):皇太子入場ファンファーレ(1970?)
5.團伊玖磨(1924-2001):吹奏楽のための「ぞうさん」(1998)
6.團伊玖磨(1924-2001):行進曲「希望のあしおと」(1998)
7.芥川也寸志(1925-1989):JALマーチ(1964)
8-11.黛 敏郎(1929-1997):組曲「東京オリンピック」(新編曲初演)(1964)
12.川島素晴(1972-):ファンファーレ
13.川島素晴(1972-):吹奏楽のための協奏曲(2010)委嘱初演
14.江原大介(1982-):「フレイム」-吹奏楽とクラリネットのための協奏曲(2010)委嘱初演
15.佐藤 勝(1928-1999):「ゴジラ対メカゴジラ」より(1974)
16.伊福部昭(1914-2006):SF交響ファンタジー第3番(1983)


指揮:福田滋
演奏:リベラ・ウインド・シンフォニー
クラリネット独奏:丹羽綾子(14曲目)