2014年12月5日金曜日

CD 絃楽オーケストラで聴く日本の巨匠たち/ 水戸博之指揮、オーケストラ・トリプティーク

【伊福部昭生誕100年記念CD

 「絃楽オーケストラで聴く日本の巨匠たち/ 水戸博之指揮、オーケストラ・トリプティーク」

■「音で味わう日本の美」弦楽オーケストラの豊かな響きへ作曲家が託した思いとは・・・。
テレビ、新聞、雑誌。数多くの媒体で大特集されている生誕100年の作曲家 伊福部昭(いふくべ・あきら)。映画「ゴジラ」や黒澤映画に音楽をつけた日本が世界に誇る巨匠です。
伊福部昭生誕100年記念として開催された「絃楽オーケストラで聴く日本の巨匠たち~オーケストラ・トリプティーク第3回演奏会」のライヴが早くもCD化されます。指揮は、広上淳一門下の逸材として期待される水戸博之。国内最高レベルの響きを知られる浜離宮朝日ホールで、気鋭の若手演奏家が奏でる日本の美を御堪能ください。


■各曲の聴きどころ
・伊福部昭:絃楽オーケストラのための日本組曲(1998
1934年のピアノソロによる原作から54年を経てのアレンジした絃楽版、ひたすらにデビュー作へこだわった伊福部昭の辿り着いた境地とは?
・黛敏郎:フルート、ピアノ、弦楽のためのセレナードファンタスティック(1946/東京初演)
17歳の黛青年が颯爽と天才を発揮した意欲作。第2楽章は未完。近年発見され話題となった曲の東京初演。
・松村禎三:ピアノと弦楽オーケストラのための朝の歌(2001
晩年の松村禎三による研ぎ澄まされた感覚が冴え渡るピアノ協奏曲。
・水野修孝:ヴィオラと弦楽オーケストラのための協奏曲(委嘱初演)
美しいメロディーとジャズの融合で知られる作曲者がはじめて書き上げたヴィオラ協奏曲。
・眞鍋理一郎:追憶(2012
ゴジラ対ヘドラなどで知られる映画音楽の大家による記憶の風景。生誕90年記念演奏。
・三木稔:箏譚詩集より、箏と弦楽合奏のための《芽生え》《白い風の下で》
日本の楽器へも多くの傑作を残した三木。なかなか演奏されないが味わい深い絃楽との協奏的アレンジ。
・芥川也寸志:映画音楽「鬼畜」より(編曲:清道洋一)
叙情的メロディーとオスティナートを発揮した芥川映画音楽より。

CDタイトル
伊福部昭生誕100年記念
絃楽オーケストラで聴く日本の巨匠たち/水戸博之指揮、オーケストラ・トリプティーク
Japanese Great Masters throuth the String OrchestraHiroyuki Mito Conducts Orchestra Triptyque

■収録曲目と作曲者

1-4 伊福部昭 Akira IFUKUBE1914-2006
絃楽オーケストラのための日本組曲(1998
1曲 盆踊 Allegro energico 4:27
2曲 七夕 Lento tranquillo 3:36
3曲 演伶 Quasi burlesco 4:27
4曲 佞武多 Marciale pesante 7:03

5-6 三木稔 Minoru MIKI1930-2011
箏譚詩集~箏と弦楽合奏のための~
第二集《春》より〈芽生え〉(1976) 3:48
第三集《夏》より 白い風の下で(19834:31
新箏ソロ:藤川いずみ

7-8 黛敏郎 Toshiro MAYUZUMI1929-1997
フルート、ピアノ、弦楽のためのセレナード・ファンタスティック(1946/東京初演)
1楽章 序奏とロマンス 9:36
2楽章 間奏曲とダンス(未完)2:07
フルートソロ:向井理絵

9 松村禎三 Teizo MATSUMURA1929-2007
ピアノと弦楽オーケストラのための朝の歌(20012002) 10:06
ピアノソロ:海瀬京子

10 眞鍋理一郎 Riichiro MANABE1924-
追憶(20121:53

11-13 水野修孝 Shuko MIZUNO1934-
ヴィオラ協奏曲(20143月完成・委嘱初演)
1楽章 2:53
2楽章 2:45
3楽章 7:44
ヴィオラソロ:伊藤美香

14-15 芥川也寸志 Yasushi AKUTAGAWA1925-1989
映画音楽「鬼畜」より(1978/2014編曲:清道洋一)
ストリート・オルガン 2:21
終曲 3:55

CD発売日 201511
税抜・本体価格 2778
CD番号 3SCD0019
バーコード 4560224350191
録音・編集:小嶋雅夫
写真:渡會裕
デザイン:田代亜弓
ピアノ調律:三浦明道
企画・発売元:スリーシェルズ(西耕一)
水戸博之指揮、オーケストラ・トリプティーク
2014913日浜離宮朝日ホールにてライヴ録音

■演奏
オーケストラ・トリプティーク http://3s-ca.jimdo.com/
水戸博之(指揮)
藤川いずみ(新箏:5
海瀬京子(ピアノ:7,8,15
向井理絵(フルート:7,8,15
伊藤美香(ヴィオラ:11-13
冨岡春絵(グロッケンシュピール:15
三宅政弘(コンサートマスター)

≪ヴァイオリン≫
遠藤結子
梶川空飛亜
駒崎りら
迫田圭
高須昌緒
民谷香子
知見寺武
千原徳子
原田真帆
藤代優意
三瀬俊吾
三宅政弘
茗荷智光
森本由希子
≪ヴィオラ≫
高橋奨
星光
米納真妃子
神山和歌子
≪チェロ≫
任キョンア
竹本聖子
朴純香
松本恒瑛
≪コントラバス≫
佐藤洋嗣
志水祐亮
≪パーカッション≫
冨岡春絵

西耕一(企画・構成)

プロデューサーノート(西耕一)

オーケストラ・トリプティークは、日本の作曲家の優れた作品の復活と発展を願って結成されました。日本の洋楽を100年の単位で捉え、歴史を踏まえ、新しき歩みをと考えています。
CDに収録された演奏会は「絃楽オーケストラで聴く日本の巨匠たち」と銘打った2014年のライヴ録音です。2014年は、作曲家 伊福部昭の生誕100年と映画「ゴジラ」公開60年が重なり、ハリウッド版ゴジラの公開など、日本だけでなく世界中が伊福部昭に熱狂しました。
「オーケストラ・トリプティーク」も、生誕100年コンサートに関わり、2月、7月、11月と参加しました。ほかとは少し違った伊福部昭生誕100年記念として、創作と教育の両面で歴史を築いた作曲家の、自作と、弟子たちの作品によって祝おうというのが今回のコンセプトです。それによって、いずれも映画・純音楽の両面で「巨匠」の名に足る作曲家が揃い踏みしました。芥川也寸志による映画音楽《鬼畜》、黛敏郎17歳の幻の作品《セレナード・ファンタスティック》、松村禎三の晩年の傑作《朝の歌》 、三木稔の箏曲を協奏的に仕上げた《譚詩集》、卆寿を迎えた眞鍋理一郎の《追憶》と、委嘱初演として伊福部門下ではないですが、第1回の演奏会からトリプティークに作品を提供してくださっている水野修孝による新作《ヴィオラ協奏曲》の上演まで。ひとりの作曲家から拡がる奥深い日本の音楽をどうぞ御堪能ください。


プロフィール
指揮 水戸博之(みとひろゆき)
1988年北海道江別市出身。北海道立大麻高等 学校を経て、東京音楽大学音楽学部作曲指揮専攻(指揮)及び同大学大学院指揮研究領域を卒業。これまでに指揮を広上淳一、汐澤安彦、田代俊文、加納明洋、三河正典、ピアノを奥山優香、北島公彦、米田栄子、野田清隆、音楽理論を伊左治直の各氏に師事。20072012年東京音楽大学給費特待奨学生。在学中、井上道義指揮者講習会にて優秀者に選出。同講習会主催リレーコンサートにてオーケストラ・アンサンブル金沢を指揮。2010年サントリーホール主催レインボウデビューコンサート21出演。2012年東総文化会館主催「東総の第九」公演 にて、東京音楽大学シンフォニーオーケストラを指揮。また東京混声合唱団の合唱指揮者として、NHK交響楽団及び東京フィルハーモニー交響楽団定期演奏会に出演する。現在、京都市ジュニアオーケストラアシスタントコンダクター、八王子ユース弦楽アンサンブル副指揮者。2014年よりオーケストラ・トリプティーク常任指揮者。

海瀬京子(かいせきょうこ)
静岡県伊豆の国市出身。西島淑恵、高原節子、 塩谷安圭美、播本枝未子、倉沢仁子、故エレーナ・ラピツカヤ、マルクス・グロー、ゲオルク・サヴァの各氏に師事。東京音楽大学付属高校、同大学を首席で卒業し、2008年東京音楽大学大学院修了。現在、ドイツ国立ベルリン芸術大学Konzertexamen課程に在学中。2001年、第55回全日本学生音楽コンクール東京大会ピアノ部門高校の部第2位。2002年、第1回東京音楽大学コンクールピアノ部門第1位。2004年、第28回ピティナピアノコンペティション特級準金賞。併せて聴衆賞、ロイズ賞、三井ホーム賞、王子賞を受賞。2005年、第74回日本音楽コンクールピアノ部門第1位。併せて野村賞、井口賞、河合賞を受賞。2010年、第17回アルトゥール・シュナーベルコンクール第1位。第26回ポルト市国際音楽コンクール第3位。2012年、第14回アレクサンドル・スクリャービン国際ピアノコンクール(イタリア)第2位。これまでに東京交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、セントラル愛知交響楽団、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、群馬交響楽団、東京音楽大学シンフォニーオーケストラ、ポルト交響楽団等と、矢崎彦太郎、現田茂夫、松尾葉子、広上淳一、横島勝人、工藤俊幸、エイドリアン・リーパー等の各氏と共演。第76回読売新聞社主催新人演奏会に出演。日本国内やドイツを中心に各地でソロリサイタルや室内楽の演奏会にも多数出演し、NHK-FM「気ままにクラシック」他、テレビやラジオにて音楽番組にも出演している。2007年度より2010年度まで(財)ロームミュージックファンデーション奨学生。平成24年度文化庁新進芸術家海外研修制度研修員。海瀬京子後援会ブログ  http://ks19912k.blog.fc2.com/

フルート 向井理絵(むかいりえ)
高松第一高等学校音楽科を経て、東京音楽大学卒業。同大学院修士課程修了。院在籍中にティーチングアシスタント、同大学付属高校吹奏楽指導助手を、卒業後は東京音楽大学非常勤助手を務める。特別奨学生として奨学金を得てザルツブルクモーツァルテウム音楽院サマーアカデミーに参加、ペーター・ ルーカス・グラーフ氏のクラスを修了。全日本学生音楽コンクール奨励賞受賞。全四国音楽コンクール最優秀賞受賞。香川ジュニア音楽コンクール金賞、併せて四国新聞社賞を受賞。東京国際芸術連盟新人オーディション奨励賞受賞、並びにリサイタル出演。フルート アンサンブル「ザ・ステップ」メンバー。定期的にコンサートを開催、これまでに3枚のCDがリリースされている。フルートを細川順三、野口博司、工藤重典、藤村恵子の諸氏に師事。

打楽器 冨岡春絵(とみおかはるえ)
武蔵野音楽大学器楽科打楽器専攻卒業。在学中は選抜オーケストラ、ウィンドオーケストラのメンバーに選ばれる。4年次には武蔵野音楽大学ウィンドアンサンブルのティンパニストを務め、演奏旅行、CD収録に参加。また在学中よりビッグバンド、スタジオワーク、ポップス等幅広いジャンルで活動をしている。その他に中・高等学校の吹奏楽部の打楽器セクションの講師として後進の指導にも力を入れている。打楽器アンサンブルユニット「Percussion Theatre GimmiC」「東京Percussive Pedia」各メンバー。これまでに打楽器を相川瞳、萱谷亮一、吉原 すみれの各氏に師事。

ヴィオラソロ 伊藤美香(いとうはるか)
北鎌倉女子学園高等学校音楽科(ヴァイオリン)を卒業。ヴィオラ専攻として東京音楽大学卒業、同大学院修士課程修了。在学中に特待生奨学金を得る。くらしき作陽大学音楽学部研究生修了後、同大学の非常勤講師を勤める。第七回日本アンサンブルコンクール室内楽部門にて優秀演奏者賞・全音楽譜出版社賞、第七回大阪国際音楽コンクールアンサンブル部門第三位受賞。別宮貞雄氏の「ヴィオラ協奏曲」を井上道義氏指揮によるオーケストラ・アンサンブル金沢と共演。また、西村朗氏の「ヴィオラ協奏曲」、水野修孝氏の「ヴィオラ協奏曲」(初演)を水戸博之氏指揮によるオーケストラ・トリプティークと共演。これまでにヴィオラを兎束俊之、室内楽を河合訓子、浦川宜也、ドミトリー・フェイギン、ヴァイオリンを鈴木稔、 田尻かをり、大谷康子の各氏に師事。

新箏 藤川いずみ(ふじかわいずみ)
新箏(にいごと/21絃)ソリストとしてオーケストラ、オペラ、歌曲、バロック、フラメンコ、コンテンポラリーダンス、語り、地唄舞、座敷唄など多様なコラボレーションを展開し、箏の可能性を追求している。日本を代表する作曲家三木稔作品による「三木稔コレクションシリーズ」を展開。三木稔が芸術監督を務めた邦楽創造集団オーラJ、オーケストラアジア、アジアアンサンブル公演、東京室内歌劇場の文化庁全国巡回公演に参加。アジア、西欧・オーストラリアなど海外公演多数。三木稔作品取扱専門「結出版」の運営管理(20082014年)、気鋭の作曲家と共に箏による優れた作品を創造する活動を行う。CD「三木稔箏作品集1」「藤川いずみ箏による新作初演I」、志娥慶香作品集「サンクチュアリ」リリース。第5回万里の長城杯国際音楽コンクール第一位、第26回信友社賞受賞ほか。日韓伝統音楽国際ネットワーク協議会副会長。熊本日豪協会理事。熊本県立第一高校邦楽部講師。http://www.koto-izumi.com/

企画・構成 西 耕一(にし こういち) 

黛敏郎、團伊玖磨、芥川也寸志の「3人の会」を中心に日本の現代音楽を企画と評論でアーカイヴすることを目指す。これまでに、NHK、東京藝術大学、日本現代音楽協会、日本作曲家協議会、放送局、大学、研究機関、関係団体の依頼による企画協力や、NHK交響楽団、読売日本交響楽団、東京フィルハー モニー交響楽団、東京シティ・フィルハーモニー管弦楽団、東京バレエ団、新国立劇場等のプログラム冊子執筆等で評価される。新国立劇場の依頼で行ったオペラ「夕鶴」上演回数調査は、上演回数800超えを証明した。CD・演奏会企画は、日本作曲家専門レーベル・スリーシェルズを中心に伊福部昭や3人の会(黛敏郎、團伊玖磨、芥川也寸志)を中心に行う。執筆掲載誌は音楽現代、音楽の友、邦楽ジャーナル、バンドジャーナル、New Composer等。NAXOS「松村禎三」CD解説、各楽団・奏者へプログラム執筆、企画提案などを行う。選曲で関わったセントラル愛知交響楽団の第123回定期公演はNHKにより収録され、FM「ベストオブクラシック」で放送された。2012年の東京フィルによる「黛敏郎個展」の企画協力・論文掲載、2013年の京都市響による「黛敏郎個展」をプロデュースして成功に導く。自身が企画構成を行う「絃楽オーケストラ・トリプティーク」の演奏会は、2013年、2014年ともに朝日新聞文化財団の助成を受け、朝日浜離宮ホールにて開催。企画提案では株式会社ティーワイリミテッドのCD企画コンペティションを数度受賞して高く評価された。