2014年1月25日土曜日

伊福部昭 生誕100年へのメッセージ(6) 池田卓夫

伊福部昭 生誕100年へのメッセージ 第6弾は!

池田卓夫氏です!
Naxosでの「日本狂詩曲」レコーディングの思い出です。
そのままドキュメンタリーを見るようです!

伊福部先生とは、キングレコードが広上淳一指揮で作品集を録音した折にインタビューさせていただいたのが初対面。戦争中の翼賛的な仕事のことまで、率直に語ってくださったのが、印象に残っています。次いで、ナクソスに私が提案して実現した「日本作曲家撰輯」第1作、沼尻竜典指揮東京都交響楽団の録音現場をご一緒しました。ご高齢の先生に配慮して、朝10時からのセッションに「日本狂詩曲」を置いたのですが、英国人プロデューサーのアンドルー・ウォルトン、エンジニアのトニー・フォークナーの両氏は「ゴジラ」の映画音楽を通じて伊福部ワールドに触れ、強い尊敬を抱き、収録作品のスコアもよく調べてきたので、なかなかオーケーが出ません。伊福部先生も「もっと泥臭い響きを!」と譲らず、15分ほどの楽曲の収録を終えたのは、午後4時でした。真夏でしたから、みな高齢の作曲家の体調を気にしましたが、ご本人は「なあに、長年この時期は映画の伴奏音楽の収録で朝から晩までスタジオに詰めていましたから、平気です」と、けろりの風情だったのに感心しました。自作、しかも思い出の出世作を最上の形で次代に手渡そうとの思いがひしひしと伝わる、素晴らしい時間を共有させていただいたのは、本当に光栄でした。

池田卓夫=音楽ジャーナリスト
http://www.watanabe-group.com/cc/members/a_gyo/ikeda_takuo.html