2014年1月21日火曜日

伊福部昭 生誕100年へのメッセージ(1)

これから、コンサートに向けて毎日「伊福部昭 生誕100年へのメッセージ」を紹介していきます!

第一弾は東京音大で伊福部昭先生とともに後進を指導され、日曜は題名のない音楽会の伊福部昭特集にも出演!

昨年は声楽入りの第九交響曲を発表(日本人史上初!)された池辺晋一郎氏です。

伊福部先生の魂           池辺晋一郎(作曲家)

 伊福部昭先生は、まさに「昭和」の日本作曲界を牽引した存在であった。僕は直接の弟子ではない。1974年に伊福部先生が東京音大に呼ばれた同じ時に、僕も同校に務めることになったこと、以後同校作曲科教員として先生のもとで仕事をしたことなどが、先生とのつながりである。やがて伊福部先生は同校学長の重責を担われることになる。さらに、松村禎三、黛敏郎、三木稔、石井真木など伊福部門下の重鎮たちと親しくつきあい、先生についてさまざまな話を山ほど聞いた。加えて映画の仕事も少なくない僕は、映画の古いスタッフからも、先生についてたくさんのエピソードを入手した。こうして僕は、ほとんど自分も門下生であるかと錯覚してしまうほどに、先生を知ることになったのである。
 真の教養にあふれた方だった。そして、その眼光からも察することができるが、深遠な哲学者のようでもあった。先生のひと言は常に重く、一度聞いたら忘れられぬものだった。  
 その魂が、その作品に込められている。オーケストラ作品、室内楽から歌曲そして映画音楽に至るまで。それらの音符ひとつひとつに内蔵する深いメッセージが、今なお大きな意味を聴く者へ伝え、限りなく魅力的であるのは、込められたその魂ゆえだと僕は思う。
 今日のコンサートでも、生誕100年という時を超えて、その魂がたくさんの人の耳へ、心へ、確実に届くだろう。

池辺晋一郎プロフィール
http://www.tokyo-concerts.co.jp/index.cfm?menu=artists&lang=jp