2014年1月26日日曜日

伊福部昭 生誕100年へのメッセージ(7)西村朗

伊福部昭 生誕100年へのメッセージ 第7弾は!

池辺晋一郎氏のあとをついでN響アワーの司会者をされたり、
作曲だけでない執筆活動も知られる西村朗氏です!
 
 伊福部昭先生が、東京音楽大学の作曲科教授をつとめられていた1990年代、8年間ほど助教授としてお仕えしました。当時、折にふれて先生から賜った金言至言は、私の生涯の宝となっております。先生には多くの傑作がありますが、そうした作曲家としての偉大な創作とともに、私たちにとって特別に重要なお仕事で、かけがえのない凄い業績として不朽の輝きを放ち続けているのが、かの名著「管弦楽法」上下巻です。オーケストラとは何であるかを徹底的に研究し、楽器各論から共同効果までを多くの類例と独自の思索を加えて詳述したこのような大著は、世界に類を見ないものと言えます。日本からの作曲留学生を受け入れたヨーロッパの作曲教授たちは、日本人留学生の管弦楽についての知識の豊かさと正確さに驚きを隠しません。それはすなわち伊福部先生の「管弦楽法」の成果です。今日では、広くアジアの作曲学生にとっても重要な書となっております。
 話は変わりますが、 伊福部先生は私より39歳年長であられました。
 大学でのある時、僕に向けてのお言葉、
「あなた鉛筆で楽譜を書いてますか。」
「はい。」
「それを長く、年齢を重ねても続けられる秘訣、伝授しましょうか。」
「はい。」
「鉛筆を右手に持つなら、消しゴムは必ず左手でという習慣をつけることですな。右手を守るために。消しゴムは手にはなはだ負担をかけるからですよ、ふふふ。」
 時に厳しく、時に優しい先生でした。 

西村朗
http://www.tokyo-concerts.co.jp/index.cfm?menu=artists&artistid=010&lang=jp